メディスン・メランコリー 東方

ブーメランコリー

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 かつて、外の世界で一瞬だけ一世を風靡した流派があった!
 その名は……風雲拳!
 そして、まったくもって偶然なことに、とある幻想少女がその流派の後継者となった!
 彼女の名はメディスン・メランコリー!
 毒とブーメランを組み合わせた全く新しい格闘技!
 ブーメランが当たるだけで基本即死!
 バランスブレイカーの超絶格闘技、毒々拳!
 字面が悪いぞ、毒々拳!
「この力があれば……誰にでも勝てるかも!」
 そうだ、戦え、メディスン・メランコリー!
 かくて彼女の旅は始まった。野越え山越えたどり着いたは太陽の畑!
「幽香ー!」
「ああ、メディスンか、メディスンね……」
 すごいやる気なさげな風見幽香が現れた。どうしたんだ、サディスティックモンスター!
「あれは貴方についてきてるみたいだけど」
「あれ?」
「あの天狗」
 おやおや見つかってしまった!
 私は完全中立のジャーナリストなので、いないようにして進行してください!
「天狗なんてどうでもいいよ!」
 どうでもよくないけど、ここは流しましょう!
「ねえ、幽香。私と勝負しない?」
「やだ」
「えー」
 つれない奴だぜ、風見幽香!
「今日は嫌なのよ」
 さては、生理だな!
「黙れ天狗。……ホントにねえ、気が重くて」
「いったい何があったの。そんなファンの球団の抑えが炎上したみたいな顔で」
「やけに具体的ね」
「例え話は具体的にしろって永琳が言ってたのよ」
「あの薬師の言うことは話九割で聞いてなさいな。どうしようもない奴なんだから……」
 どうしようもない引きこもりニートの代表格である風見幽香が言っても説得力ないぞ!
「ねえ、メディスン。やっぱりあいつ殺していいかしら」
「ダメよ。あんなのでも殴ったら血が出るわ」
 あんなのって……。
「むー、せっかく私の毒々拳を見てもらおうと思ったんだけどな。幻想郷最強になれるとっておきの技だと思うのに」
「最強だって?」
 おっと、ここで挑戦者の乱入だ!
「最強なんてのは、私を倒してから言うことね!」
 まさしくニューチャレンジャーのエントリー。
 そうっ、彼女の名は!
「誰?」
「誰だっけ……」
「おいおいおーい!」
 挑戦者、いきなりの精神攻撃にダウン寸前だーっ!
「私よ、九十九八橋!」
「いや、知ってるけど。なんで八橋? これってチルノが来る流れじゃない? 八橋って最強議論スレでも下の方とかにいるでしょ?」
「貴方に言われたくないわ!」
 いきなりのマイクパフォーマンスの応酬だーっ! マイクないけど!
「いい? 私は幻想郷じゃいわばニュービーのアーティスト。自分が登場できるチャンスにはどんどん前へ出ていかないと、いつしか忘れ去られてただの付喪神になってしまうのよ」
「いざとなれば、脱げば成年向け要員になれるけど」
 風見幽香が言うと、いろいろと物悲しいツッコミだー!
 ツッコまれる方なのにツッコミとはこれいかに!
「山の仙人が言うよりマシでしょ」
 それもそうね。
「あ、納得した」
「私から話の主題を奪うなぁ!」
 こりゃまたどうも失礼しました。あとはお若い方々でどうぞ一つ。
「というわけで、勝負だ! メディスン・メランコリー!」
「手ぬるいとか言われてる妹のくせに、すごく直線的な言い草だなあ」
「八橋の場合、エロ方面でも活躍の機会が少ないからね」
「あのスカートの弦をなくしたら、どこのキャラクターかわからないもんね」
「姉のように特徴的な髪型でもないし」
「何この空間! 私に対する査問会? ヤン・ウェンリーが受けたアレ?」
 甘いぞ、九十九八橋!
「どういうこと?」
 毒々拳を操るメディスン・メランコリー……通称ブーメランコリーの戦いはすでに始まっている。
 気づいていないのかしら?
 実は彼女のセリフはすべて、自分に向けて返ってくるような際どい話題ばかりだということに!
「ああっ、確かに! 最強議論でも下の方。脱げばペド向け成年要員。意外と直線的な言い草。よくよく見るとどこが出典だかわからないコンセプトデザイン」
「そこまで言ってない!」
 ただの八橋プレゼンツ悪口フェスティバルだー!
「いいだろう。それじゃあ、決めようじゃない。どっちがペド向けエロ要員であるか!」
「えっ、そこ抽出すんの?」
 個人的には非常に興味がありますが!
「私も入るの?」
 入らねえよ、グレート年増幽香。
「殺すわよ」
 このマンモーニめ! そうじゃなくて、「殺した」なら使ってもいいッ!
「うおおおおおおおお!」
 メディスンさんが吼えた! これぞ風雲拳……じゃない、毒々拳の真骨頂だ!
「くらえー!」
 さながらクリリンの気円斬のように飛んでいくブーメラン!
「弾幕でもないブーメランなんて、当たるわけがない!」
 ああっ、「踏み込みが足りん!」とか言えばいいのに、実に普通のセリフで流す八橋!
 そんなんだからオファーが来ないんだよ! 人気が出ないんだよ!
 語尾にわよんとか付けてから出直してこい!
「あいつが諸悪の根源なのでは……?」
「そう思う? 私もそう思う」
「同じく」
 八橋、メディスン、幽香の目線が私に突き刺さる!
 ふふっ、つい私のあふれ出る有名人オーラのせいで目立ってしまったらしい。ここは大人しく退散しようじゃないか。また会おう、明智くん!
「毒々拳弾幕、なんかブーメランがいっぱい!」
 わあ、なんか変なスペカ発動した!
 すっごいブーメランが前後左右から来る!
 何これ! 超初見殺し!
 たーすけーてー!
「悪は滅びるのみ……」
 私がすごい勢いで避けている時に見えたのは、そうつぶやきながらマスパの光輝を両手に集める幽香の姿だった。
 あ、無理ね、これ。
 かくて、最大級のブーメランが私に突き刺さったというお話だったのサ。

-メディスン・メランコリー, 東方

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